研究課題
基盤研究(C)
自殖性ソバ18系統を、日本の他殖性ソバ6品種、カナダの他殖性ソバ6品種を比較として、その特性について評価した。2006年は春まきでは自然災害により試験区が著しく撹乱されたために十分なデータの検討ができなかった。8月21日に播種した場合、地上部収量の分布は自殖性系統と他殖性品種との間に大きな違いはみられなかった。一方、種子収量は、日本他殖性品種群が最も高い領域に分布し、次いでカナダ他殖品種群、自殖系統群であった。収穫指数は他殖品種群に比較して自殖系統群は低い領域に多く分布していた。個体花房数は、日本品種に比較し、カナダ品種・系統群が多い領域に分布し、自殖系統群では種子収量との問に弱い正の相関関係がみられた。総分枝数は自殖系統群は他殖品種群に比べて多く、分枝がよく発達していた。種子収量と総分枝数との関係は、日本の他殖品種群では負の相関関係が、自殖系統群では正の相関関係がみられた。また、草丈では自殖系統群は分布が広く、他殖品種に比べて草丈が低い傾向が認められた。以上より、自殖性系統では他殖品種に比べて形態的に変異に富んでいることが明かとなった。しかし、夏型品種の自殖性系統は、日本の夏播き栽培では十分な収量性が発揮できず、分枝数・花房数の制御とともに、春まき栽培での詳細なデータの蓄積と、形態形質と関連した収量性の評価が必要となった。自殖性系統では草丈が低いほか、基部節間が短く、基部茎径が太いことから、耐倒伏性の面で有利性が高いと考え、草型が大きく異なる自殖性の6系統を用いて倒伏と草型との関連を検討した。立性系統では倒伏が最も著しく76%を示したのに対し、キク型と称する下位節間が著しく短く、下位から分枝が叢生するタイプでは倒伏が見られなかった。また、倒伏のタイプはなびき倒伏が主で、折損倒伏は全倒伏面積の10%以下であった。倒伏面積と単丈あるいは地上部生体重との間には相関関係が認められなかったが、子葉節間径は倒伏系統と非倒伏系統間で有意な違いが認められた。そのほか、重心の位置、下位節間の直径や節間長は倒伏と関連しているものと推察された。これらの結果は耐倒伏性の面で、ソバの育種における育種目標において重要な指針を与えた。
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Buckwheat Research, Chai Yan and Zhang Zongwen eds., Nothwest A&F University Press 259-262
ページ: 580
Japanese Journal of Crop Science 76(Ex.2)
ページ: 220-221
Chai Yan and Zhang Zongwen eds Northwest A & F University Press, Yanglin
ページ: 259-262