本研究では、住民意識から見た緑地との関わり方と緑地保全活動への参加意欲を明らかにした。これまでの都市計画における緑地計画が緑地の量や割合を指標としていたのに対して、市民が感じている評価は、トータルの量ではなく身近に存在するひとつひとつの緑地の規模と質の変化である。これらが里山保全活動への参加動機に直結すると考え、市民参加による緑地保全の動機付けとなる要因を明らかにした。まず、都市近郊住民の周辺緑地の利用から緑地保全活動への参加意欲を持つまでのプロセスを明らかにした。次に、住民の利用保全参加しやすい緑地と生活圏の距離を明らかにした。最後に、住民による緑地保全活動の実態と志向を明らかにした。 緑地保全活動の担い手となりやすい地域住民は、緑地から1km以内に居住する市民と言える。緑地から1km以内に居住する住民は、緑地を日常的に利用し、また、周辺の緑地と比較して高い評価を与える傾向にある。緑地の規模が10ha以上場合には、距離の持つ意味が少なくなる。1km以内に居住する市民は参加する可能性が高く、まとまりのある緑地は市民による保全管理を行い易いと言える。 都市近郊の住民による里山保全活動の実態として、千葉県の北総地域で活動を行っており、2002年時点で3年以上に渡って活動が継続されており、なおかつ、会報が3年以上発行されている5団体を対象に活動プログラムの実態調査を行った。里山保全活動プログラムの実態から見ると里山とは、都市において自然と関わることができる場であり、植物の管理や農業などができる場としての活動がある。植物の管理は公園愛護活動などでも行われているが、里山保全活動では、自然観察による知識の集積や子供のための自然環境学習などにつながり易い活動であることが違いであろう。
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