研究概要 |
リンゴ自家・交雑不和合性に関わるS遺伝子解析とリンゴとバラのSSRマーカー解析については、1.国内ならびに外国のリンゴ栽培種、栽培種の起源種とされている品種、野生種計96種のS遺伝子型を同定した。2.S遺伝子型を同定した栽培種の中で記載されている両親との間に矛盾を生じたものについて、交配試験と後代解析によりS遺伝子型を確認した。3.交配試験と後代実生のS遺伝子型解析により、類似性の高いS_3とS_<10>-allele間に認識のゆらぎのないことを明らかにした。また'Makamik'のS_<1,20,24-like>RNase alleleのゲノム解析を行い、S_1、S_<20>、S<24>との類似性を明らかにするとともに交配試験によりこれらのalleleとの問に機能的な差異のないことを明らかにした。さらに、S_<16a>-とS_<16b>-RNase alleleも機能的に同じalleleであることを確認し、S_<6b>-とS_<21>-RNase allele同定法を新たに確立した。4.花粉親不明種と、両親とも、もしくは両親のいずれかの記載に誤りのあるリンゴ栽培種についてSSRマーカー解析を行い、17種の来歴・系図を明らかにした。5.SSRマーカー解析により日本のリンゴ栽培種を中心に42栽培種の遺伝的多様度を明らかにするとともに、リンゴ赤果皮および赤果肉形質に関わるMYB遺伝子群のゲノム解析を行った。6.バラの遺伝的多様度を解明するために、野生バラおよび野性バラ間の種間交雑種を中心にSSRマーカー解析を行い、種間交雑種の来歴を確認するとともに、遺伝的多様度について明らかにした。7.Rosa rugosaとRosa multifloraのF1集団は、いずれの個体も稔性が低く十分な戻し交雑集団を確保することが困難であることが判明した。そこで、新たにRosa rugosa x Rosa'WKS82'ならびにRosa rugosa x 'Lavande'の交雑集団を作製し、SSR解析を行った。
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