1.夏季熱画像データの取得 2006年8月3日11時から11時30分にかけて、ヘリコプターを用いて、南海難波駅を中心とした南北2.5km×東西2.0kmの範囲の可視光および熱画像の撮影を行った。撮影にはデジタルビデオカメラとサーモグラフ(NEC三栄製)を用い、地上600mから動画のスキャン画像を撮影した。撮影後、それぞれの動画から取り込んだキャプチャー画像をコンピューター上でモザイク合成し、それぞれ1枚の可視光画像、熱画像を作成した。これらの画像の地上部での最小分解能を検証した結果、冬季の撮影と同様に約2mの物まで判別可能であることが分かったが、機体の旋回を伴って撮影されたエリアにおいて顕著な分解能の低下が認められた。この点に関しては、今後の撮影方法の改善が必要になる。撮影時間中は雲の影響があり、部分的に曇天状態での熱画像となった。 2.現地調査 なんばパークスを中心に、撮影対象地内の代表的な緑地を、樹林地、草地、屋上緑化等に分類して抽出し、それぞれの植物被覆状況、生育状況等の現地調査を行った。また、撮影と同時に地上部での日射量の測定を行い地上気性条件の把握を行った。 3.画像処理および計測 撮影した熱画像はGISデータ化し、コンピューター上で可視光、熱赤外線光画像の合成を行い、表面部材との対比が可能なように処理した。雲の影響があるため、全地域を同時に比較することは難しく、晴れ間のエリアを抽出して地表面被覆状態との関連性について解析した。その結果、低木植栽域と高木植栽域では大きな表面温度差が無いこと、低木高木混交植樹のエリアでは日影の影響当により、平均表面温度が低下すること、人工地盤上の植栽域と地上の植栽域では有意な表面温度差が生じないことなどが明らかになった。
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