研究概要 |
高温処理は,収穫後青果物を40〜50℃の温度帯で短時間処理する方法であり、病害虫防除に加え、青果物に対して種々の生理的効果を示すことが認められている。近年、食品に対する安心・安全の要求が高まる中、化学物質を用いない収穫後の鮮度保持技術の確立が求められている。本研究は高温処理の品質制御機構について検討した。 1.緑色香酸カンキツである長門ユズキチについて低温障害発生機構について調べ、収穫後の高温処理(35℃1〜3目間処理)が低温障害の抑制効果を示すことを明らかにした。 2.ブロッコリー花蕾の脱緑機構について、特にMg-脱離物質に着目し、その特性について調べるとともに、高温処理(50℃2時間,温風処理)によるMg-脱離物質への影響について検討した。 3.キュウリ果実の低温障害について、活性酸素がその発生に影響を及ぼしていることを認め、高温処理(45℃2時間、温風処理)が効果的に障害を抑制し、その機構について過酸化水素消去酵素の面から検討した。 得られた結果から、収穫後の高温短時間処理は長門ユズキチ果実、キュウリ果実の低温障害およびプロッコリー花蕾の脱緑(黄化)に抑制効果を示すものと判断された。また、高温処理は、低温障害については膜脂質の変化を抑制し、活性酸素の消去を行うこと、一方、脱緑(黄化)に関してはクロロフィル分解酵素活性の制御を通して、収穫後の品質保持に作用するものと推察された。
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