研究概要 |
人間活動の拡大によって,生物の種が,年々減少・絶滅している。国内では外来植物が国際的な交通網の発達などによって著しく増加し,在来植物が減少している。本研究では特に主要な在来植物の種子の保存条件に関する実験を行い,逆に外来植物が国内に多く帰化した原因を埋土種子性から探った。その結果,在来植物としての代表種のマユミ(Euonymus sieboldianus Blume)種子は,低温湿潤条件下では種子の腐敗が生じやすいこと,種子を腐敗しない程度と思われた21.3%の含水率まで乾燥させて貯蔵すると発芽率が下がることがわかった。しかし乾燥条件下での貯蔵後,低温湿層処理3ヶ月間とジベレリン処理の組合せによって発芽率を高められることがわかった。また外来植物として近年急激に増加している地中海地方原産のナガミヒナゲシ(Papaver dubium L.)は,都市域を中心に,関東以南から瀬戸内海地方にわたる降雨量の少ない地域に多く生育していることがわかった。さらにナガミヒナゲシの種子発芽は暖温湿層処理によって高められることがわかり,都市内を中心に急激に増加していることとの関連性を考察した。
|