研究課題/領域番号 |
17580049
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
土田 耕三 国立感染症研究所, 放射能管理室, 室長 (40231435)
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研究分担者 |
藤本 浩文 国立感染症研究所, 放射能管理室, 主任研究官 (60373396)
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キーワード | カイコ / カロチノイド / 脂質輸送 / 細胞内透過機構 / リポホリン / カロチノイドの吸収 / カロチノイド結合タンパク質 |
研究概要 |
同じクワの葉を食べても、カイコには、白や黄、ピンク、緑など違う色のマユを作る系統がある。黄色いマユの黄色の色素は桑の葉由来のカロチノイドである。カロチノイドを取り込んで絹を黄色くする仕組みは不明だった。 黄色いマユを作るカイコは黄血遺伝子(Y)を持ち、中腸においてカロチノイドを吸収し中腸細胞を透過させる。我々は、Y遺伝子の実態であるカロチノイド結合タンパク質(CBP)を精製し、その遺伝子構造を明らかにした。Y遺伝子の劣性型はCBP遺伝子の2番目のエクソンを欠失しており、そのためにタンパク質の翻訳が出来ないことを明らかにした。 I遺伝子はこのY遺伝子の抑制遺伝子として知られており、Y遺伝子の働きを止めることで、繭の色を白くする遺伝子として知られている。Y遺伝子をもちI遺伝子の劣性遺伝子を持つ系統は、CBPを発現し黄色の体液、黄色の繭を作ったが、Y遺伝子とI遺伝子を持つ系統でも、CBPを発現しており、I遺伝子はY遺伝子を抑制することはなかった。しかしながら、このカイコはCBPを作っているものの、体液は黄色にならず、また繭も白い。以上のことから、Y遺伝子はCBPをコードし、CBPはカロチノイドの吸収、細胞内透過の役割を持つことは明白であるが、カロチノイドが中腸から体液に出て行く際の細胞膜通過を制御するのがI遺伝子であることを明らかにした。 カイコだけでなく、生物の体内でのカロチノイド取り込みの仕組みは長年謎であったが、我々の研究は今後、ヒトの網膜の中心にある黄斑の形成機構の解明にもつながる可能性がある。
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