研究課題
基盤研究(C)
I遺伝子はカロチノイドの輸送にかかわるタンパク質であり、中腸細胞から体液に輸送する際に機能している可能性を示唆する結果が得られている。たとえば、Y遺伝子とI遺伝子両方を持つ系統を用いて中腸細胞内のカロチノイドの運搬を行うカロチノイド結合タンパク質(CBP)発現を、ノーザンハイブリダイゼーションでしらべると、mRNA量に変化は見られないし、CBPタンパク質も作られていることがわかった。しかしながら、この系統では、中腸にカロチノイドが多量に存在するものの、中腸から体液にカロチノイドが輸送されることがなく、体液中のカロチノイドは、Y+^I系統のものに比較して100倍程度少なくなっている。Iは、Y遺伝子の抑制に働いているのではなく、カロチノイドを中腸から体液へ送り出す、カロチノイドの細胞外輸送にかかわるのではないかと考えられる。この前提に立てば、I遺伝子の産物は細胞膜に存在する可能性が高い。I遺伝子のクローニングは、I遺伝子を持つ系統と、+^Iをホモに持つ系統を利用して両者の中腸cDNAをいたサブトラクションによって、候補遺伝子を探していく分子生物学的方法と、+^Y+^Y系統で欠損していると考えられる細胞膜因子を精製していく、生化学的方法による二つのアプローチでおこなった。候補として見つかったものは数十以上の遺伝子があり、この中から候補を絞って解析する必要がある。ヒト等で知られているコレステロール輸送タンパクであるABCトランスポーターや、スカベンジャーリセプタータンパク質など細胞膜脂質輸送に関わるタンパクに絞って解析していくことが必要である。I遺伝子に機能を知るためにはYと+^Yの遺伝子構造を明らかにし、なぜ+Y系統ではCBPが作られないかを知る必要がある。ゲノム構造の差はYと+^Yでコピー数が違っていた。+^YでCBPタンパク質の発現が失われ、白血・白繭が作られる分子機構が明らかになり、CBPのexon2がスプライスアウトされることにより、本来の翻訳開始点を持たないmRNAが作られるため、CBPが翻訳できないことがわかった。CBPを+^Y品種に強制発現すると+^Y品種の黄血・黄繭への復帰ができ、CBPがY遺伝子の実体であることを分子生物学的に明らかにした。
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