研究課題
区画ポット栽培により外生菌糸の浸出物を採取し、酸性ホスファターゼ活性とその由来について検討した。<方法>ナイロンネット(30μm)で根区画と菌糸区画に分けたポットに滅菌黒ボク土を詰め、セラミック製の土壌溶液採取管(直径2mm、長さ50mm)を埋め込んだ。AM菌(Glomus Clarum、Gigaspora decipiens)の接種区と非接種区を設け、タマネギを成育させた。播種後42から66日目まで土壌溶液を採取した。これらの溶液中の酸性ホスファターゼ活性、菌根形成率、リン含有率、地上部乾物重と外生菌糸長を測定した。さらに各処理区の土壌溶液を濃縮し、SDS-PAGE後、酸性ホスファターゼの活性染色を行なった。<結果>両AM菌の接種により、タマネギは80%以上の菌根形成率を示した。菌根形成により、リン酸吸収と地上部の成育が促進された。接種区の両区画の採取管の表面に外生菌糸の付着が確認できた。接種区の外生菌糸長は非接種区より長かった。酸性ホスファターゼの全活性は、G.clarum接種区のいずれの区画でも播種後42日目から54日目にかけて上昇し、その後低下した。活性は播種後54日目において両接種区で非接種区より高く、G.clarum接種区の方がG.decipiens接種区より高かった。PAGE後の活性染色ではG.clarum接種区の菌糸区画土壌溶液から菌根特異的なバンドが検出された。これらのことからAM菌の菌糸は酸性ホスファターゼを分泌して有機態リンを可給化し、またそれは菌体に由来するものと考えられた。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Journal of Plant Nutrition 29
ページ: 657-665
Mycorrhiza 16
ページ: 459-464