研究課題/領域番号 |
17580052
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
渡邊 眞紀子 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (10175119)
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研究分担者 |
藤嶽 暢英 神戸大学, 農学部, 助教授 (50243332)
松崎 浩之 東京大学, 原子力研究総合センター, 助教授 (60313194)
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キーワード | 土壌菌核粒子 / 腐植酸Pg / AMS14C年代 / δ13C |
研究概要 |
新潟県妙高山(2005年6月)、ドイツ・ハルツ山地(2005年5月,出張経費は別経費)、北海道トムラウシ山(2005年7月)、秋田県田沢湖町(2005年8月)において土壌調査と土壌試料採取を行った。調査者は渡邊、藤嶽のほか、研究協力者として小林孝行(神戸大D3)、坂上伸生(東工大D1)の4名による。妙高土壌とトムラウシ土壌を用いてHPSEC法による腐植酸の分子サイズ別分画や極性の違い(疎水性・親水性成分)に応じて分画作業を進めた。また、土壌菌核粒子を起源とすると考えられているPgの年代を測定するために、ゲルクロマト法によるPg分画を行った(藤嶽)。 採取土壌のアルミニウムの存在形態などの土壌分析と菌核試料の調整、構造計測、CHNOコーダーによる元素分析を行った(渡邊)。AMS加速器法により、土壌菌核試料の14C年代測定を層位別、粒子サイズ別、地域別に行った(松崎)。また、対象土壌についてAA処理による抽出腐植酸および妙高土壌埋没腐植層の腐植酸Pg分画試料を用いて14C年代測定を行った(松崎)。さらに、IRMS(農業環境技術研究所保有)を借用して土壌、土壌腐植酸、菌核の各試料のδ13Cを測定した。14C年代測定の結果、土壌菌核粒子の年代は日本の火山灰土の表層では100年〜300年と地域差が見られなかったのに対して、埋没腐植層では1000年以上の年代値をもつこと、菌核粒子>腐植酸Pg>腐植酸の順で古い年代値をもつことが明らかとなり、菌核粒子はAl腐植複合体としての回転速度が腐植成分の中で小さいことが明らかとなった。ドイツの森林土壌表土の菌核の年代値は100年未満(modern)であることから、Al腐植複合体としての回転速度の違いが指摘された。菌核試料のδ13Cは、土壌における腐植成分と比べて2%小さいという興味深い結果が得られた。菌核形成の材料特性に起因するのか、菌核内部の微生物による基質分解による同位体分別に起因するかについては、今後さらに検討する。
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