研究課題/領域番号 |
17580056
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
村田 智吉 独立行政法人国立環境研究所, 水土壌圏環境研究領域, 主任研究員 (50332242)
|
研究分担者 |
田中 治夫 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (20236615)
亀山 哲 独立行政法人国立環境研究所, 流域圏環境管理研究プロジェクト, 主任研究員 (80332237)
|
キーワード | 土壌学 / 土壌圏現象 / 地理情報システム / 国土保全 / 解析・評価 |
研究概要 |
本研究は、地形、植生、表層地質、テフラ降灰量の異なる幾つかの森林地帯において、精度の高い土壌炭素蓄積量の推定法の確立と、既存の土壌分類体系を用いて推定する場合の精度評価や問題点、改良方法の発掘を目的としている。初年度は、荒川流域源流部の土壌調査を行うとともに、採取試料の理化学分析を行った。また、荒川流域森林地帯に関して、5万分の1土地分類基本調査図(土壌図、表層地質図)について、GISを用いた解析を行うためのデジタル情報化を行った。 荒川流域源流部において、土壌有機炭素組成におよぼす火山灰母材と植生との複合的影響を検証した結果、最表層土では酸性シュウ酸塩抽出Al+1/2Feの増大に伴い、土壌全炭素に占める熱水可溶炭素割合が低下した。且つ、両者の関係は天然広葉樹林地と人工針葉樹林地で異なることを明らかにした。 土地分類図上の褐色森林土亜群にっいて、今回の調査分析結果を代入した場合、表層下30cmの土壌炭素蓄積量は、入川流域で8.3(±2.8)kg m-2、大血川流域で10.5(±1.5)kg m-2、御岳山周辺では5.0(±1.5)kg m-2となった。この3区域での土壌炭素蓄積量の違いは乾性傾向の強い土壌の分布割合と符合し、広く分布する地域で低い値を示した。また、人工針葉樹林地への転換により減損する熱水可溶炭素成分の多くは糖質であった。 奥秩父森林地帯において、土壌の乾性傾向は表層地質構造やそれらと関連した斜面上での土壌崩壊パターンなどと密接な関連性があるものと予想されるが、このような特徴が火山灰土の堆積安定性に加えて炭素蓄積量やその組成にも影響していると考えられる。
|