研究概要 |
Bacillus megateriumとSerratia grimessiの生成するピロール-2-カルボン酸脱炭酸酵素は可逆的脱炭酸酵素であり、3M炭酸水素カリウムの添加条件下で、ピロール環の2位のカルボキシル化を触媒する。両菌株のピロール-2-カルボン酸脱炭酸酵素の遺伝子解析を行い、高発現組換え菌を造成した。前者の酵素は、酢酸などの有機酸をコファクターとして活性発現に要求し、後者の酵素は、コファクターを要求しない。前者に比べて後者の酵素は酸素感受性が顕著である。両酵素のアミノ酸配列を解析し、これらの特性と相関性を精査した。Arthrobacter nicotianae Fl 1613の生成するインドール-3-カルボン酸脱炭酸酵素もインドールと高濃度の炭酸水素カリウムからインドール-3-カルボン酸合成の炭酸固定反応を触媒する。本酵素遺伝子についても、クローニングと遺伝子解析を行い、高発現組換え菌を造成した。4-ヒドロキシ安息香酸脱炭酸酵素、3,4-ジヒドロキシ安息香酸脱炭酸酵素、2,6-ジヒドロキシ安息香酸脱炭酸酵素についても、酵素を精製単離し、反応特性の解析を行い、逆反応(炭酸固定反応)を明確にした。2,6-ジヒドロキシ安息香酸脱炭酸酵素は効率よく炭酸固定活性を発揮することから、炭酸固定反応の最適返納条件設定した。高濃度の1,3-ジヒドロキシフェノールを添加すると添加した50%が2,6-ジヒドロキシ安息香酸へと変換され、その蓄積量は反応液1L当たり、220gの達した。これらの炭酸固定を触媒する芳香族脱炭酸酵素群の特性を解析、比較し、遺伝子配列の相同性を解析して総括した。
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