研究概要 |
30μM Eu存在下でコロニー径が大きくなった細菌3菌株(EU-1、EU-2、EU-3)の同定を行った。菌学的特徴及び16SrDNA塩基配列に基づく系統解析から、EU-1株、EU-2株及びEU-3株をMethylobacterium属、Nevskia ramosa及びSphingomonas属と同定した。Methylobacterium sp.EU-1株は、1/100希釈肉汁平板培地において希土類元素のうち中希土に属するEuとSmの存在下でコロニー径が大きくなった。しかしながら、軽希土及び重希土ではEuやSmから原子番号の増減に伴い増殖阻害が認められた。また、同培地に1%メタノールを添加した場合には、Smのみがコロニー径を大きくし、Euによる増殖促進効果は観察されなかった。その他の希土類元素ではメタノール無添加時と同様の増殖挙動を示した。また、生体関連元素では増殖促進効果はまったく認められなかった。さらに、1/100希釈肉汁液体培地にメタノールとSmを同時に添加すると、生菌数がSm無添加時に比べ10数倍も増加した。また、このSmによる増殖促進は10μM濃度でもほぼ同程度の効果を示した。これらの結果は、SmがEU-1株のメタノール代謝に深く関与していることを示している。Sphingomanas sp.EU-3株ではEuに加えLa,Ce,Pr,Nd及びSmなどもコロニー径を大きくすることが分かり、軽希土から中希土に属する元素が増殖促進効果を有していたが、重希土類元素ではほとんど影響が見られなかった。一方、生体関連元素ではこのような増殖促進効果は認められなかった。液体培地では、La無添加時の場合増殖定常期以後生菌数が急速に減少することが観察されたが、Laを添加した場合には定常期が延長することが認められた。この結果は、Laが本菌株の定常期におけるコロニー形成能維持に重要な役割を果たしていることを示唆しており、極めて興味深い。
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