研究課題
基盤研究(C)
分生子は無性胞子の一つで、この形成様式は形態学的形質として酵母を含む菌類の属以上の高次分類の指標として用いられている。しかしながら、近年の系統解析の結果から、分生子の中には系統を反映しないものも存在することが示されており、射出胞子もその1つである。Dioszegia属、主にD. croceaとその近縁種について種間および種内の射出胞子形成能の多様性について調べたところ、系統学的な関係は反映しておらず、また同一の種内でも射出胞子の形成能は異なっており、遺伝子発現のレベルで異なっていることが推定された。したがって、本形質は属の指標としては不適切であると思われ、分類体系の再構築の際には本形質は指標からは除かれるべきである。Bullera oryzae JCM 5281を用いて、Suppression subtraction法により、射出胞子をよく形成する培養条件とそうでない場合のmRNAの発現を調べたところ、ミトコンドリア遺伝子の発現に差が見られた。そこで蛍光顕微鏡により形態観察を行ったところ、母細胞から生じた小柄とその先に射出胞子を有している細胞では、栄養細胞に比べて蛍光強度が全体的に強く、細胞全体が着色される場合もあった。また、ミトコンドリアは細胞の表層付近に多く存在しており、粒子状に凝集している場合も観察された。これにより、射出胞子という形態学的特徴はミトコンドリアの量的な変動ばかりではなく形態学的な変化も付随している可能性が示唆された。
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Proceedings of the 8th International Mycological Congress, Cairns(Australia), August 20-25, 2006, ed. by Meyer, W. and Pearce, C. Medimond Publications, Bologna.
ページ: 129-133
Proceedings of the 8th International Mycological Congress, Cairns(Australia) by Meyer, W. and Pearce, C. Medimond Publications, Bologna 20-25