細胞老化シグナルネットワークの構築 1.TAK1およびPKC-δの機能検定 テロメラーゼ抑制因子として同定したTAK1およびPKC-δが細胞老化誘導能を有することを明らかにした。また両因子は、分裂老化および早期老化いずれの細胞老化プログラム誘導時においても必須の役割を担っていることが明らかとなった。以上の結果から、細胞老化プログラムのKey regulatorとしてTAK1およびPKC-δを同定することに成功した。 2.細胞老化マーカータンパク質の探索 分裂老化を向かえた細胞より膜タンパク質を単離し、分裂老化に伴って発現変化を示すタンパク質をTOF-MASS解析により同定した。その結果、細胞老化さらには加齢性疾患発症に関与すると予想されるタンパク質の同定に成功した。これらのタンパク質は加齢性疾患の治療および診断への応用が可能であると考えられた。 カロリー制限による延命の分子基盤の解明 1.延命の分子基盤の解明 動物培養細胞を用いて、延命の分子基盤解明のためのシステムの構築を行った。その結果、糖および血清抜き培地での16時間培養により、ヒト培養細胞において延命因子SIRT1の活性化が引き起こされることが明らかとなった。またこのSIRT1の活性化は、ポリフェノールであるレスベラトロールおよび転写因子Foxo3aによっても引き起こされることが明らかとなった。 2.アンチエイジング食品の開発 延命因子としてのサーチュインに着目し、その哺乳類ホモログであるSIRT1のプロモーター(SIRT1p)を取得した。SIRT1p-GFPコンストラクトを動物細胞に導入し、GFP蛍光によりSIRT1p活性を追跡可能な組換え動物細胞を樹立した。この動物細胞株を用い、SIRT1pを活性化しうる乳酸菌株の同定に成功した。
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