研究概要 |
本研究は、Amycolatopsis orientalis由来のβ-グルコサミニダーゼ遺伝子をクローニングし、シーケンス解析を行い、大量発現系の構築を経て、その構造と機能の解明を日的としている。昨年度においては、我々は本酵素の分泌発現系の構築に成功し、その野生型と4種の変異型酵素(D469A,D469E,E541D,E541Q)の反応特異性の解析を行い、Asp469がプロトン供与体、Glu541が求核基として働いていることを明らかにした。さて、このような酵素の構造と機能を調べる上で、オリゴ糖基質の加水分解をリアルタイムで定量的に追跡することは不可欠である。本年度は、グルコサミニダーゼ反応のリアルタイム測定を質量分析法によって試みた。得られたマスシグナルを定量的に解析するために、各オリゴ糖のイオン化ファクター(IF)を測定し、マスシグナル強度をIFによって補正することによって定量を行なった。その結果、HPLCで得られた反応の経時変化と同様のものが質量分析によってリアルタイムで、しかも短時間の測定で得られた。1回の測定で使用する酵素および基質量も軽減でき、この方法はグルコサミニダーゼ反応を追跡する上で有用であることが明らかになった。また、HPLC測定において観測された糖転移反応活性は、質量分析法においては全く観測されず、糖転移反応活性は、酵素基質濃度に大きく影響されるということもわかった。
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