1.イネアシルトランスフェラーゼ(OsAT)ファミリーの分子遺伝学的解析 (1)OsAT1の再導入により作製した過剰発現イネはいもち病菌に抵抗性を示すだけでなく、細菌病の白葉枯れ病菌(Xanthomonas oryzae pv.oryzae T7174)にも抵抗性を示すことを明らかにした。 (2)昨年度OsAT15を過剰発現するイネを作製したが、本年度、qRT-PCRで発現レベルの高かった形質転換体を選抜していもち病菌(virulentのKyu89-246(MAFF101506)、レース003.0)抵抗性検定を行った。しかしながら顕著な抵抗性は認められなかった。 2.イネアシルトランスフェラーゼ(OsAT)ファミリーの生化学的解析 (1)OsAT1過剰発現イネとWTで脂肪酸の抽出・精製・定量を行った。その結果リノール酸(18:2)含量がOsAT1過剰発現イネで約60%増加していることを見出した。一方オレイン酸(18:1)等のそれ以外の脂肪酸含量に大きな変化は認められなかった。 (2)OsAT1及び15を大腸菌発現ベクターに連結し、His-tagを付加した形で大量発現させた。大量発現には成功したものの不溶化してしまい、このままでは酵素反応には用いられないため、現在可溶化条件を検討中である。大腸菌で可溶化できなかったため、同時にOsAT1及び15をシロイヌナズナ用過剰発現ベクターにも連結し、花浸し法で形質転換シロイヌナズナを作製している。OsAT1及び15の酵素活性を明らかにするために、今後はシロイヌナズナでのメタボローム解析も併せて行う予定である。
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