研究概要 |
1.イネアシルトランスフェラーゼ(OsAT)ファミリーの分子遺伝学的解析 (1)OsAT1の再導入により作製した過剰発現イネはいもち病菌に抵抗性を示すだけでなく、細菌病の白葉枯れ病菌にも抵抗性を示すことを明らかにした。 (2)いもち病菌感染後1,2,3日のイネよりRNAを調製し、OsATファミリーメンバーの全て(14種類)に特異的なプライマーを用いてReal-time PCRを行ったところ、OsAT15及びOsAT18の顕著な転写誘導が認められた。OsAT18は系統樹ではOsAT15と最も近縁なメンバーであった。なおこれら以外のファミリーメンバーでは顕著な転写誘導は認められなかった。 (3)OsAT15のWTイネにおける組織別の発現をReal-time PCRで調べたところ、発現量は幼穂で最も強く、葉鞘で弱く発現しており、葉身、穂、根ではほとんど発現していなかった。 (4)OsAT15を過剰発現するイネを作製し、qRT-PCRで発現レベルの高かった形質転換体を選抜していもち病菌抵抗性検定を行った。しかしながら顕著な抵抗性は認められなかった。 2.イネアシルトランスフェラーゼ(OsAT)ファミリーの生化学的解析 (1)OsAT1過剰発現イネでリノール酸(18:2)含量が約60%増加していることを見出した。一方オレイン酸(18:1)等のそれ以外の脂肪酸含量に大きな変化は認められなかった。 (2)OsAT1及び15の酵素活性を明らかにするために、OsAT1及び15を大腸菌発現ベクターに連結し、His-tagを付加した形で大量発現させた。大量発現には成功したものの不溶化してしまったので、現在可溶化条件を検討中である。同時にシロイヌナズナでのメタボローム解析も併せて行う予定で、OsAT1及び15を過剰発現するシロイヌナズナを作製中である。
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