糖タンパク質糖鎖を認識してユビキチン化するレクチン様ユビキチンリガーゼSCF(Fbs1)を発見し、その標的分子の解析などにより、SCF(Fbs1)は小胞体で高次構造形成に失敗したタンパク質の分解処理機構である「小胞体関連分解(ERAD)」に関わるリガーゼであることを報告してきている。SCF複合体の基質結合サブユニットF-boxタンパク質のひとつFbs1には5種のホモログが存在するが、糖鎖結合能の有無も含めこれらの機能は未知である。これらの標的分子の同定等により細胞内における機能の解析を行うことを目的として研究を進めた。 昨年度は、大部分のFbs1はSCF複合体としてではなく、Skp1との二量体として存在し、小胞体膜上に存在するFbs1のみSCF複合体として存在することを見出し、これがシャペロンとして機能するという新たな機能を見出した。今年度は、さらに、Fbs1が他の蛋白質と複合体を形成し、細胞接着に関与することを示唆するデータを得た。また、Fbs1がSCFを形成しにくい特性を利用して、Fbs1ホモログを改変し、リガーゼ活性を低下させることで、新たな基質分子をスクリーニングし、現在TOF-MSを利用して、これらの新規標的分子の同定を進めている。これらの解析により、Fbs1ホモログが糖鎖修飾を持たない蛋白質を基質とする可能性を見出した。
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