研究概要 |
申請者らは、ほ乳類ゲノムの解析からシグナル分子であるペプチドホルモンET-2/VICを発見して、その構造と機能の解析を行ってきた。生物活性として、血圧上昇、腸管平滑筋の収縮活性、細胞増殖、等、多彩な機能を持つ。基本(物質)特許は実用化され、化学合成ホルモン(ペプチド)が販売されている。最近この遺伝子の発現を、乳腺や脳下垂体や皮膚において発見し(BBRCユ02a,BBRCユ02b)、受容体の遺伝子発現の定量法も開発した(BBRCユ03)。しかしながら、ET-2/VICは、ET-1とアミノ酸配列が酷似しているために、特異性の十分高い抗体が開発できていない。ET-1に関しては、精力的な研究が国内外で行われている。が、ET-2/VICに関しては、特異性の高い抗体が無い為に、研究の進展は遅々としている。そのためペプチド自身の局在を正確に示す事は、発見後15年も経過するが、ほとんど不可能である。(1)今回、ペプチドのアミノ酸配列の差を識別するための新しい抗原分子を合成した。これをラビットに免疫し、抗体価の上がった抗血清を取得した。抗血清から特異的抗体を取得するために種々の精製法を試み、ET-2/VICの特異的抗体を取得した。つまりまずET22/VICカラムで特異的な抗体を濃縮し、次にET-1カラムでET-1に反応する抗体を除いた。この特異性の高い抗体を用いて、動物の組織において、本ペプチドの正確な特異的検出や局在を解析している。 (2)さらにET-2/VICの機能を解析するためには、特異的に遺伝子発現を抑制する方法の確立が重要である。ET-2/VICのsiRNAを取得するために、ET2/VICのcDNAを種々のソフトで解析して、siRNAの候補に成り得るdsRNAを合成して、そのdsRNAのmRNA発現を抑制する活性を測定中である。高効率で遺伝子発現を抑制できるsiRNAを開発できれば、ET-2/VICの遺伝子発現の生物機能・生理機能を解析できる。 次年度はペプチドの局在を示し、mRNA発現を阻害して、遺伝子の機能を推定したい。
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