研究課題
1912年堀によって発見されたリンゴ果実夏稔病菌Phaeosclerotinia nipponica Horiは分生子世代と完全世代で様子が大きく異なる糸状菌と注目された。1990年原田は、本病はチャイロミ菌核菌Lambertella sp.が、リンゴ灰星病菌であるMonilinia sp.に対してリンゴ果実上で引き起こしたマイコパラサイト現象の二つの菌を一種と報告したものであることを明らかにした。申請者は本マイコパラサイト現象を支配する物質を、ホスト及びパラサイト代謝物から見出し、物質レベルで解明することを目的とし、研究を展開した。Lambertella sp.1346を^<13>C-ラベル酢酸存在下培養した生合成実験では、極めて効率的にラベル酢酸がlambertellinに取り込まれた。マススペクトルを応用して取り込み率を求める方法の開発を行った。開発した手法は2%の取り込み率の違いを明白に区別できることが判明した。これを応用し、取り込み率の最適化を行い、炭素量比較で0.5%以下の^<13>Cラベル酢酸の添加条件での培養にもかかわらず48%という、これまでに無い高い取り込みに成功した。このような高い取り込み率の場合、マススペクトルはisotopomer存在のため特徴的なイオンパターンを示した。生合成関連物質も類似のマススペクトルシグナルパターンを示すと仮定し、これを指標に生合成関連物質の探索を行い、neolambertellinと命名した新規化合物の単離に成功した。本化合物は微量であり、培養抽出物から構造を確定するに十分なスペクトルデータを得ることはできなかった。そこで天然物のlambertellolから合成し、その構造を確認した。
すべて 2005
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