研究課題
リンゴ果実における、Lambertella種のMonilinia fructigenaに対するマイコパラサイト現象を物質レベルで検討した。マイコパラサイトの一つであるLambertella sp.1346は、盛んにlambertellol類を生産する。lambertellol類のうち5種は、本研究課題で申請者らによって見出された新規化合物であるが、Monilinia fructigenaに対して強い抗菌活性を示し、本マイコパラサイト現象への関与が示唆された。ところが、同現象を示すLambertella corni-marisの場合、それらlambertellol類を生産するものの、極めて微量であり、共通のメカニズムでマイコパラサイト現象が引き起こされているとするならば、lambertellol類は原因物質でないと考える必要があった。種々条件を検討したところ、Lambertella corni-marisの場合もホストMonilinia fructigenaと共培養した場合著しい量のlambertellol類を生産することが判明した。また、菌糸を除いたホスト培養液の添加でもlambertellol類の生産が増大し、化学物質の存在が示唆された。しかしながら、活性物質の分画には再現性が低く特定の化学物質ではないことが判明した。一方、ホスト培養液は強い酸性であることが判明した。そこで、Lambertella corni-maris培養開始時に、クエン酸を添加し酸性にして培養したところ、lambertellol類生産性の増大を再現できた。また、本現象は塩酸の添加でも再現でき、lambertellol生産の増大はプロトン濃度によるものであることが明らかになった。
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