研究概要 |
我々はイネのジテルペン系フィトアレキシン生合成に関与する環化酵素遺伝子は全6種についてcDNAクローニングに成功している(OsCyc1/OsCPS4、OsCyc2/OsCPS2、OsKS4、OsDTC1/OsKS7、OsDTC2/OsKS8、OsKS10)が、それ以外にもイネゲノムデータベース上の存在するジテルペン環化酵素遺伝子は存在する。その中の発現が確認されていた遺伝子のうちOsKSは偽遺伝子であり、OsKS5とOsKS6はそれぞれent-pimara-8(14),15-diene合成酵素、ent-kaur-15-ene合成酵素をコードすることを示し、全遺伝子の解析が終了した。この結果はジベレリンやフィトアレキシン生合成環化酵素還伝子には機能重複がないことを示唆した。また、GFPをマーカーとした実験によりフィトアレキシン生合成環化酵素6種とジベレリン生合成環化酵素2種(OsCPS1、OsKS1)は細胞内において全て色素体に移行される可能性も示した。また、ent-CDP合成酵素をコードするOsCPS1が機能喪失したジベレリン欠損突然変異体にそれと同じ触媒能を有する酵素をコードするOsCyc2/OsCPS2を過剰発現させたところ、極矮の形質は部分的に回復し、矮性形質になった。このことは、ジベレリンあるいはフィトアレキシンの生合成に関与するOsCPS1とOsCyc2/OsCPS2は細胞生物学的・生化学的に異なる性質を有する可能性を示した。またOsCyc1/OsCPS4が欠損したTos17挿入突然変異体を1種見出した。これら組換え体と突然変異体の次世代種子を入手できたので来年度のそれらを用いてさらに追究する。
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