イネのジテルペン系フィトアレキシン生合成に関与する環化酵素遺伝子6種の発現解析とフィトアレキシン(代表例としてモミラクトンとフィトカサン)の定量分析により、イネの芽生えの根においてモミラクトンとフィトカサンは根で生合成され、根より分泌される可能性を示した。また、イネのent-コパリル2リン酸合成酵素遺伝子には、ジベレリン生合成に関与するOsCPS1とフィトアレキシン生合成に関与するOsCPS2が存在するが、それらの組換え酵素を用いて酵素学的な特徴付けを行ったところ、指摘温度、指摘pH、Km値など基本的性質はほとんど同じだったが、基質GGDPによる阻害度はOsCPS1よりもOsCPS2の方が低く、また、ジベレリン生合成阻害剤AMO-1618は、OsCPS1の活性は著しく阻害したが、OsCPS2はほとんど阻害されず、この2点についてそれらは異なる性質を示した。さらに、tos17挿入ミュータントパネルよりOsCPS4のノックアウト候補のT1種子をとりよせ、T4まで継代させつつノックアウト体を探索したが、ヘテロ変異体しか得られなかった。このヘテロ体ではOsCPS4の遺伝子発現量は野生型よりも半減していた。また、OsCPS2、OsCPS4、OsKSL4、OsKSL7についてRNAi株を作成し、まず1ラインずつについてそれぞれ目的の遺伝子の発現量を調べたところ、野生型と比較しても著しいノックダウン体は得られなかった。それ以外のラインの発現解析を行い、ノックダウン体を探索する予定である。
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