研究概要 |
1.1-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-2-ニトロイミノ-1,3-テトラヒドロピリミジン-5-オンおよび2-ニトロメチレンと2-シアノイミン類縁体の合成の試み (1)上記構造の5-ジメチルアセタールを合成し,その加水分解を試みたが,原料を回収するか複雑な混合物が得られるのみであった。試みた試薬:CF_3CO_2H, HCO_2H, HCl, LiBH_4/acetonitrile-water, DMSO/water, thiourea/CF_3CO_2H/water, Me_3SiI, p-toluenesulfonic acid, CAN/NaBrO_3, nafion/acetone, ion exchange resin/water-acetonitrile, Er(OEt)_3/nitromethane他。 (2)上記構造の5-ヒドロキシニトロメチレン誘導体を合成し,酸化による変換の試みたが,原料の回収か,ニトロメチレン基の消失を伴う環構造の分解がおこり,目的物のケトンは得られなかった。試みた試薬:NaOCl/CH_3CO_2H, NaBrO_3/CH_3CO_2H, NaBrO_3/RuCl_3/HMPA, CAN, DMSO/Pyridine-SO_3/Et_3N, DDQ/dioxane-CH_3CO_2H, Ca(ClO)_2/CH_3CO_2H, NaClO/CH_3CO_2Hおよび種々の条件下での,デスーマーチン,オッペナウアー,スワン酸化。 2.1-(置換-3-ピリジルメチル)-2-ニトロイミノイミダソリジンの合成と殺虫活性の関係の研究。 イミダクロプリドは,1位の6-クロロ-3-ピリジルメチルが環境あるいは生体内で代謝を受けて,脱離し,活性体に変化することも考えられる。従ってピリジン環の置換基の種類によってプロドラッグとしての性質が異なることが予想される。本研究では,5位に10数種の置換基を導入して,殺虫活性を測定したところ,5位にハロゲン原子を導入した化合物に活性が見られ,特に5-フッ素6-塩素化合物は,イミダクロプリドに匹敵する昆虫に対する活性を示した。 3.2-ニトロイミノイミダソリジンの1および/あるいは3位に,代謝を受けるあるいは受容体との結合が可能性のある置換基を導入したところ,いくつかは殺虫活性を示したので,特許出願の可能性を検討している。 4.ネオニコチノイド系殺虫性分子の活性必須部位である,2-ニトロイミノイミダゾリジン,2-ニトロメチレンと2-シアノイミンを種々のヘテロ環と共役させた構造の化合物を合成し,それらの昆虫神経活性と構造の関係を,量子化学の手法も含めて,検討している。
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