研究概要 |
1.1-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-2-ニトロメチレン-1,3-テトラヒドロピリミジン-5-オンの合成の試み 1)上記構造の5-ジメチルアセタールを合成し、その加水分解を試みたが、原料を回収するか複雑な混合物が得られるのみであった。試みた試薬:トリフルオロ酢酸,水,ナフィオン,硫酸ピリジン,PdCl_2(CH_3CN)_2,塩酸/メタノール,アリルアルコール/塩酸,トリフェニルホスフィン/塩化トリメチルシリル.試みた条件:種々の溶媒、種々の反応温度、開放フラスコや封管中、超音波照射等。 2)上記構造の5-ヒドロキシ体を合成し、bis(cyclopentadienyl)diiridium dichlorideを触媒に用い、アセトンや2,2-ジメチルプロピオンアルデヒドと共存させてオッペンアウアー酸化によるケトンへの変化を試みたが、原料の回収か複雑な生成混合物を与えるのみであった。 2.プロドラッグ1,3-ジオキソリル誘導体の創製。合成した5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソ-4-イルメチルイミダクロプリドは、生理食塩液中の半減期10-12時間でイミダクロプリドを再生し、プロドラッグの挙動を示した。また、イミダクロプリドの再生は、昆虫神経を用いた試験や殺虫試験においても確認された。この化合物は、イミダクロプリドの実質的に最初のプロドラッグであり、これらの結果を速報誌に投稿中である。 3.イミダクロプリドに2-ニトロイミノイミダゾリジンの1位に3-フッ化プロピル基を導入したところ、高い殺虫活性を示した。プロドラッグの可能性を含めた活性発現の議論の論文が受理され印刷中である。 4.イミダクロプリドのピリジン環に新たな置換基を導入したプロドラッグを創製するためには、ピリジン環上の置換基と活性との間の相関が必要になる。それに向けての合成をおこない、昆虫神経活性や殺虫活性との相関を求めた(論文発表済)。 5.プロドラッグの創製には、活性体自身の活性機構の解明が不可欠である。ネオニコチノイド分子のファーマコフォアと思われる部位を系統的に変化させ、電荷密度や脂溶性と昆虫神経活性の相関を研究した(論文発表済)。
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