研究概要 |
根寄生植物ストライガは宿主植物から独立しては生存できないため、発芽には宿主根から分泌される刺激物質を要求する。発芽後、別の化学シグナルに応答して侵入のための器官である吸器を形成する。その後、宿主植物根に侵入するが、親和性の組み合わせでは寄生が確立するのに対し、非親和性の組み合わせでは侵入過程で壊死する。本研究は発芽から寄生確立にいたる各段階における宿主植物ー寄生植物間の相互作用をサブトラクション法を用いて分子レベルで解析している。 吸器形成前の発芽種子と、2,4-DMBQ処理により吸器を形成した発芽種子それぞれからRNAを抽出・精製し、吸器形成に伴い特異的に発現が高まる遺伝子を探索した。その結果、60の遺伝子断片の塩基配列を決定した。現在、リアルタイムPCRにより発現解析を進めている。 一方、マメ科のモデル植物であるミヤコグサに親和性のオロバンキと非親和性のストライガを接種し、それぞれに応答性の遺伝子の探索を進めている。これまでにオロバンキの寄生に応答すると考えられる遺伝子を66、ストライガの侵入に応答すると考えられる遺伝子を61単離した。このうち両者で共通に見出された断片は1遺伝子のみであったため、寄生、侵入に特異性の高い遺伝子の断片が取得できたと考えられる。これらについても現在発現解析を進めている。
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