根寄生植物Orobanche spp.およびStriga spp.は世界各地で農業生産に甚大な被害を与えており、有効な防除方法の確立は喫緊の課題である。本研究では、マメ科のモデル植物ミヤコグサ(Lotus japonicus)を宿主植物として、各種寄生植物との関係を調べた結果、Orobanche aegyptiacaが寄生すること、Orobanche minorは表皮を越えて侵入するが維管束を結合できずに枯死すること、Striga hermonthicaは表層で枯死することを見出した。これらの現象からミヤコグサがそれぞれの寄生植物を認識することが示唆された。そこで、O.aegyptiacaが寄生した根(Oa)、O.minorが侵入した根(Om)、S.hermonthicaが接触した根(Sh)、非接種コントロール根(Ni)を用いてサブトラクションを行い、それぞれの寄生植物を接種したミヤコグサ根において特異的に発現が高まる59、21、46の遺伝子を単離した。単離した遺伝子の、Oa、Om、Shにおける経時的な発現を調べ、宿主植物の寄生に対する応答機構を明らかにすることを試みた。その結果、Oaにおいては、根粒共生時に発現することが知られている多くの遺伝子が誘導されることが見出された。一方、Shにおいては、ファイトアレキシンの生合成に関わるイソフラボン還元酵素をコードする遺伝子の特異的な発現が確認された。これらのことから、ミヤコグサは親和性、非親和性の寄生植物の侵入を認識して遺伝子発現レベルで異なる応答をしていることが判明した。
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