研究概要 |
1.biphenyl分解経路:本年度は、bphA(1-22)、bphA(2-2)、bphA(1049)を用いた物質変換に着手した。bphA+bphBによる変換を行い、1,2-diol(catechol)構造を有し、優れた抗酸化活性を有する新規化合物の創製を試みた。基質としてbphA(1-22)、bphA(2-2)については7種の市販フラボンを用いて変換実験を実施した。結果、bphA(1-22)とbphA(2-2)の間に基質特異性の差は認められなかったが、これらを用いることにより、bphA(2072)+bphB変換では得られなかった新たな変換物を3種得ることができた。そのうち1つは新規フラボンであった。bphA(1049)に関しては、種々の複素芳香環化合物を用いてbphA+bphB変換実験を行った。この結果、やはりbphA(2072)+bphB変換では得られなかった新たな変換物を5種得ることができた。 2.O-xylene oxygenase遺伝子を組み込んだ大腸菌を用いてnaphthalene類の変換を行った。多くのメチル置換ナフタレン類を1,2-dihydrodiolに変換する能力を有することを明らかにすることができた。 3.P450による微生物変換:ノカルディア科Hou-blue株より保存領域を利用してCYP153ファミリーに属する新規P450遺伝子(P450HB153)を単離した。本P450遺伝子をpREDベクターにより大腸菌で機能発現させたところ、P450HB153は同ファミリーのP450balk(CYP153A13a)が変換できない2-n-butyl benzofuranを基質としてアルキル基の末端に水酸基を導入できることを明らかとすることができた。 4.1の研究で得られた変換化合物について、(1)ラット脳脂質過酸化抑制作用、(2)ラット脳神経細胞ハイブリドーマ(N18-RE-105)に対するグルタミン酸死抑制作用、を用いて優れた抗酸化作用を有するか否か検討した。その結果、すべての変換物が基質と比較して優れた抗酸化作用を有することを見出した。
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