バンレイシアセトゲニン合成の新方法論として、環状工ーテル部とγ-ラクトンを分子間メタセシスでカップリングさせる手法を考案し、昨年度はその最初の試みとして、Trichilia alausseniiの実から単離されたラクトンの合成を行った。今年度は、さらに複雑なアセトゲニン合成への応用としてピラゴニシン(1)の合成を検討した。まず、分子内エーテル化反応による環状エーテル部分の効率良い合成を開発した。この合成研究途上では、メトキシメチル基の新規転位反応も見い出した。さらに、前年度合成に成功しているγ-ラクトン部位と環状エーテル部分を分子間メタセシスによりカップリングさせることに成功し、ピラゴニシン(1)の第二世代合成を達成した。 ここで得られた知見は、坑ヘルペスウイルス活性を持った大環状化合物マクロビラシンA(2)の合成にも生かされた。まず、シャープレスの不斉酸化反応等を利用して合成したオレフィンアルコールヘグリコシル化反応を行い、糖アルコール誘導体ならびに糖脂肪酸誘導体を合成した。これらを山口法によりカップリングさせて長鎖アルキルエステル3とした後、分子内メタセシスに供すると高牧率で2の構成脂肪酸等価体が得られた。このものは加水分解を行うことによりC_<22^->構成脂肪酸へ変換された。一方、エステル3のメタセシス反応条件を詳細に検討したところ、分子間メタセシス反応も進行することが分かり、一気に2の持つ42員環コアを構築することに成功した。
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