トリプトファン代謝鍵酵素アミノカルボキシムコン酸セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)の脳内免疫系への関与およびラットにおける組織局在性をインサイチュ・ハイブリザイゼーション(in situ hybridization)法で検討した。 糖尿病ラットおよび炎症性刺激に鋭敏に反応する砂ネズミを用いて、LPSなどで刺激を与えた時のACMSD活性を検討した。その結果、脳における活性は検出限界以下であったが、砂ネズミにおいては腎臓ACMSD活性が大きく減少したことより、LPSなどで刺激を与えた時の脳内キノリン酸の増加は腎臓ACMSD活性の減少も一因であることが示された。 ラットの脳、腎臓などにおけるACMSDmRNAの局在性をin situ hybridization法で検討した。各組織をリン酸緩衝液4%パラホルムアルデヒドで還流固定し、パラフィン包埋後、サンプルをミクロトームで薄切した。ACMSDmRNAと特異的にハイブリダイズする相補的なプローブを作成した。組織をアセチル化、Prok処理、脱水後、作成したプローブとハイブリダイゼーションさせ、検出は酵素抗体法で行った。その結果、脳(糖尿病ラット)においては小脳、海馬の細胞に、腎臓においては糸球体にACMSDmRNAが発現することが明らかとなった。 免疫系と関連が深いと考えられているトリプトファン代謝産物ピコリン酸のLC-MSを用いた測定法を検討した。緩衝液、イオン対試薬などの条件を検討した。その結果、緩衝液をリン酸カリウム緩衝液(pH8)から酢酸アンモニウム緩衝液(pH9)に代え、イオン対試薬をTetrabutylammonium HydrogensulfateからDibutylammonium Acetateへ変えたことにより感度の高い測定法を確立することが出来た。
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