研究概要 |
ヒトをはじめとする哺乳類で,アミノカルボキシムコン酸セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSDと略す)は,トリプトファン・ナイアシン代謝の鍵酵素である。ACMSD活性の動は,炎症・免疫システムや神経変性に関与するトリプトファン代謝中体の生成に,大きな影響をぼす可能性がある。本研は,ACMSDとエイコサノイドの関係を明らかにすることを目的とした。一方,食品成分,ホルモン,疾病により,in vivoの系で、ACMSD活性が変動することは知られているが,細胞などin vitroの系での究はあまりなされていない。ACMSD活性変動のメカニズムを細胞レベルで調べるためには,培養細胞の系を確立することが重要である。そこで本研究は,培地,培養時間、食品成分を溶かす溶媒などの培養件および中の酵素活性の測定条件等を検討し,培養細胞の系を確立した。そして,in vitroの系でも食品成分,薬剤(クロフィブレートなどのペルオキシソーム増殖剤)により,ACMSD活性やmRNAが変動することを示した。次に,コラゲナーゼ潅流法にて,ラットの肝臓を分離・培養し、培養液に食品成分の抽出物,n-3,n-6系の脂肪酸,ジクロオキシゲナーゼ阻害剤を添加し,ACMSD活性,mRNAの発現等を検討した。その結果,脂質は,ACMSDの活性,mRNAを抑制したが,その機序として,PGなどのエイコサノイドは介さない系で作用していることを明らかにした。
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