研究概要 |
エチレン作用抑制効果をもつ1-メチルシクロプロペン(1-MCP)は常温でガスであり、その取り扱いは難しい。本研究では、1-MCPをα-シクロデキストリン(CD)に包接粉末化する場合の包接複合体形成反応の特質を明らかにした。また、1-MCP包接α-CD粉末からの恒温恒湿下での1-MCP徐放挙動を測定するとともに、示差走査熱量計(DSC)を見いて包接複合体粉末からの卜MCP徐放反応特質を解析した。 1-MCPガスとα-CD溶液との反応は、1-MCPについて1次、CD濃度について1次の反応を伴うガス吸収として取り扱うことができ、擬1次反応のガス吸収速度式で包接体粉末形成反応を表わすことができた。包接体粉末の形成率が高いときはα-CD1モル当たりに包接される1-MCPモル数が小さく形成率が小さいときは包接率が高い傾向にあり、包接体粉末の形成率が高く包接率の高い反応温度の至適温度は15-20℃であった。作製した1-MCP包接α-CD粉末を温度50℃、湿度30,45,73%RHで静置し徐放を行わせた。静置後すぐに一部の1-MCPが徐放しその後、ゆるやかに徐放した。73%RHの場合、粉末が溶解し被膜が形成されるため、徐放量は少なかった。1-MCP包接率の異なる包接粉末のDSC曲線を測定した。1-MCP包接α-CD粉末からの1-MCP徐放に伴う吸熱による面積より包接粉末の1-MCP解離吸熱量を求めると約42kJ/mol 1-MCPであった。1-MCP包接率と1-MCP解離吸熱量は比例するので140〜250℃間の吸熱ピークが1-MCPの解離吸熱ピークセあると推測できる。また1-MCPの解離吸熱ピークを定量的に解析し、得られた反応速度(k)をアレニウスプロットすると1-MCPの解離は1次速度に従った。 現在、作製した1-MCP包接α-CD粉末を用いて、1-MCP定量供給システム構築を行っている。
|