トウモロコシのamylose-extender (ae)突然変異体は澱粉枝作り酵素(BE)のアイソザイムであるBEIIbの発現量が著しく低いことから、aeトウモロコシの胚乳澱粉は正常種のトウモロコシ胚乳澱粉と比較して、以下に示すような非常に異なった性質を示した。 1.高いアミロース含量、アミロースとアミロペクチンの中間画分の高い含量、アミロペクチン単位鎖の長い平均鎖長 2.高い糊化温度、生澱粉分解酵素に対する高い抵抗性、X線回折図形がB型(正常種はA型) さらにae以外の澱粉の性質や含量に影響を及ぼす遺伝子とae遺伝子とが組み合わさった二重、三十変異体トウモロコシの胚乳澱粉の性質を調べた結果、以下のような結果が得られた。 1.ae;sh4とae;bt1のアミロース含量は正常種とほぼ同様であった。 2.ae;sh2とae;bt2のアミロペクチンの鎖長分布は正常種とほぼ同様であった。 3.上記のような構造変化に伴う二重・三重変異体胚乳澱粉の糊化・老化特性、生澱粉分解酵素に対する消化性、X線回折図形などの物理化学的性質についても、ae遺伝子は他の遺伝子の影響を大きく受けていた。(すなわち、他の遺伝子を導入することにより、ae遺伝子単独の澱粉特性が大きく変化する。) 次にae遺伝子座内が微細に異なるトウモロコシ胚乳澱粉の性質を調べた結果、アミロース含量、中間画分の含量、アミロペクチンの鎖長分布が様々に変化し、それに伴い、澱粉の糊化特性、結晶構造なども様々に変化していた。これらの結果から、今後、育種により、価値の高い利用特性をもったaeトウモロコシ澱粉が生み出されることが期待できる。
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