研究課題/領域番号 |
17580123
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉田 俊也 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助手 (60312401)
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研究分担者 |
久保田 康裕 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (50295234)
長池 卓男 山梨県森林総合研究所, 森林環境研究部, 研究員 (50359254)
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キーワード | 森林動態 / 森林伐採 / 影響評価 / 地域間比較 / 資源管理モデル |
研究概要 |
北海道内に点在する長期モニタリングサイトにおいて、昨年度に引き続き野外調査を行なった。 北海道北部の調査地では、既存の長期観測データを基にした論文を掲載し、さらに追加的な野外調査によって人為撹乱に起因する生態学的プロセスの解明を進めている。この地域では概して伐採の影響が森林動態(とくに針葉樹)に対してネガティブであった。とりわけ若木の新規加入の制限が大きな問題であることから、稚幼樹の調査を中心に行なった。主要な成果については国際誌に投稿中(3編)または解析中である。後者のうち2件は、日本森林学会、国際林業研究機関連合の研究集会(カナダ)で発表した。また、このような成果に基づいた地域の森林資源管理のあり方について、行政・地域関係者向けの出版予定物の一章として分担執筆した。 一方、北海道中央部から東部に位置する5箇所の対象地域のうち、今年度は、2箇所で調査を行なった。択伐林および未伐採林分のデータを補強し、解析内容の一部は、上記のカナダでの研究集会で長池が発表したほか、日本生態学会でも発表した。択伐林では針葉樹の回復が顕著であり、北海道北部とは対照的であった。このように、同様の伐採方法であってもその影響の顕在化が地域によって全く異なることが示された。 データをもとにした資源管理を可能にするために、2種類のシミュレーションモデル化の検討を並行して進めた。Pacalaら(1993,1996)によるSORTIEは、森林管理への応用を念頭に北米で開発され進化しつつあるプログラムであるが、本年度は開発チームともコンタクトを取り、北海道の森林に特有なプロセス(例えばササによる樹木の被圧)の導入、実測データのパラメータ化を進めた。一方、Satoら(2006)による植物の生理過程に基づく動態モデルSEIB-DGVMでは、久保田を中心に、森林管理のプロセスを導入する試行段階まで到達することができた。
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