研究課題/領域番号 |
17580130
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
小林 一三 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (50315595)
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研究分担者 |
蒔田 明史 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教授 (60315596)
星崎 和彦 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助手 (30322655)
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キーワード | マツノザイセンチュウ / マツノマダラカミキリ / 寒冷地 / 防除 / 産卵消長 / マツ枯れ / 年越し枯れ / 海岸マツ林 |
研究概要 |
*病原体であるマツノザイセンチュウを媒介するマツノマダラカミキリ成虫が、秋田県の海岸マツ林ではどのくらいのマツザイセンチュウを身に付けて、いつ頃からどのように出現し、その産卵期はどうなっているかという一連の伝播様式を2005年の夏に具体的に追求した。 ・温暖地では1年1化の経過をたどるマツノマダラカミキリが秋田の海岸林では、温量の不足によって、およそ1/3の個体が2年1化となることがわかった。この2年1化成虫の脱出期間や体重は1年1化成虫と変わらないものの、その材線虫保持数は極めて少なく、1年1化成虫の0.2%しかなかった。 ・マツノマダラカミキリ成虫によって被害木から持ち出される材線虫数が多くなる時期は6月下旬から7月中旬の約一ヶ月間であった。 ・マツノマダラカミキリの産卵は7月11日から始まり、9月5日には終了していた。全産卵数の8割は7月下旬から8月中旬の一ヶ月間に産み付けられた。産卵期間が6月初旬から9月頃まで続く温暖地に較べると、寒冷な秋田での産卵期間は大幅に短くなっていることがわかった。 *温暖地では夏から秋にかけて集中的に発生する被害木が、寒冷地では年内のみならず、年越し枯れとなって1年中発生することが知られている。秋田の海岸林では春夏秋冬を通じて被害枯死木がどのように発生するかを具体的に把握するための試験地を2カ所(1カ所当たり約1000本の番号付きマツ生立木を含む)設置した。本年度は被害木が少なかったこともあり、まだ顕著な傾向が現れていないが、この試験地を用いて被害木発生状況調査を継続中である。 こうした知見をもとに、寒冷地におけるマツ枯れ防除システムについての留意点をまとめ、「秋田方式」として示した。
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