研究概要 |
資源循環型の木質パネルの利用スキームを提案することを目的として,その技術的な裏付けを実験的に検証することを課題とした。国産針葉樹の小径、中径材の利用,建築解体材や木材産業から排出されるリサイクル材の利用が課題となり,さらに,海外における植林木を加え,これらをハイブリッド化することで,新しい木質パネルの流れを創造することを目的とした。成果は以下に集約される。 3層化したストランドボードに加えて,5層リサイクル材複合ストランドボードを製造した。建築解体材パーティクルを芯層に,表層に2層化したスギストランド層を配置した5層ストランドボードについて,表層ストランドの配向効果が最も物性に寄与することが実証された。ヤング係数については,単層ボードの値を用いて予測が可能であることが示された。 ストランドボードの耐久性能試験を実施し,耐水性能に優れることが検証された。特に薄く切削したスギストランドを用いたボードでは,厚さ膨張率が低く抑えられることが確認できた。 製造した実大寸法のハイブリッド合板をについて,性能評価試験を実施した。表層にユーカリを用いた28mm厚合板では極めて高い弾性率が得られた。しかしながら,品質の調査では,スギ単板を表層に用いた合板の方が性能は劣るものの,好まれる傾向が見られた。また,良質スギ単板を用いた9mm厚合板においても,同様に高い弾性定数を得ることができた。この後,構造用途への利用が期待される。
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