研究概要 |
生体内でメチル基を供給するために働くC1代謝経路では、Serine hydroxymethyltrans-ferase(SHMT)、Glycine decarboxylase、Formyl THF synthetase、THF de-hydrogenase/cyclohydrolase、Methylene THE reductase,Methionine synthetase、Methionine adenosyl-transferase等の酵素が機能している。本年は、これらの酵素をコードする遺伝子を欠損させた変異体の観察を行い、野生型と比較して植物体にどのような変化が見られるかを調べた。欠損させる遺伝子を選出には、既存のデータベースや既報の論文から手がかりとなる情報を収集し、その中で特にポプラのマイクロアレイ解析のデータに着目した。このデータにおいて、セリンから遊離したC1ユニットをTHFへ転移する酵素SHMTをコードするシロイヌナズナの遺伝子At4g13930は、リグニンの合成が最も盛んな時期の細胞において特異的に発現量の増加がみられたことから、シロイヌナズナのSHMTをコードする7つの遺伝子について着目し、その発現プロファイルと遺伝子欠損個体における表現型の解析を行い、当該遺伝子とリグニンのメチル化との関連性を特に注意深く検討した。その結果、解析した遺伝子の発現とリグニン合成との間には、有為な相関は見られなかった。
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