研究課題
本研究は、光酸化反応が木材表層へ浸透するメカニズムを解析し、光劣化深さの予測と効果的な耐光処理を可能にすることを目的とする。18年度は「木材密度-光劣化深さ」の関係及び「光源の波長-光劣化深さ」の関係について、以下のことを明らかにした。1.スギ辺材のまさ目面に人工太陽光(キセノン光)を1500時間照射し、早材〜晩材間の密度の異なる材部において光劣化深さを比較した。軟X線法で測定された早材〜晩材間の密度変化は、0.24〜0.95g/cm^3であった。顕微FT-IR法で評価された光劣化深さは、早材では最大値の650μmに達したが、木材密度の増加とともに減少し、晩材での最小値は200μmであった。これらの結果を詳細に比較・検討し、「木材密度-光劣化深さ」の関係が反比例であること牽明らかにした。さらに、木材が光と水分の作用によって風化し、侵食される速度(文献値)が、同様に木材密度と反比例の関係にあること、侵食速度が光劣化深さに依存することを示した。2.多波長照射分光器を用いて、紫外線〜可視光線(波長310〜434nm)を、波長間隔約30nm、波長幅約20nmの条件で分光し、スギ辺材のまさ目面に照射した。各波長帯の総受光量(光子量)が等しくなるように最大22時間照射した後、早材における光劣化深さを波長帯別に評価・比較した。光劣化深さは、可視光線である紫色光(中心波長403nm)を照射した際に最大であった。この結果は、木材の光劣化深さが、紫外線ではなく短波長の可視光線の浸透に依存することを示している。
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Holzforschung 61
ページ: 23-27
Proceedings of 5th Woodcoatings Congress (17-18 October 2006, Prague) Paper 9
ページ: 1-11