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2006 年度 実績報告書

ゲーム理論の応用による水産資源管理の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 17580155
研究機関東京大学

研究代表者

山川 卓  東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (10345184)

研究分担者 青木 一郎  東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (40114350)
キーワードゲーム理論 / 水産資源 / 資源管理 / 協力ゲーム / Nash均衡 / プール制 / 収益配分 / 競争
研究概要

[目的]水産資源管理の研究では従来,資源の生物学的側面に基礎を置く動態モデルを中心に論議が展開されてきた。しかし,現実の管理を実行するのは漁業者であるから,効果的な管理の実現のためには資源の動態のみならず漁業者の行動動態をも予測したうえで管理方策の選定や制度設計を行う必要がある。本研究では,経済学分野における基本理論として適用範囲の拡大しているゲーム理論を水産資源管理へ応用することにより,現実的で有効な管理制度を提言するとともに,資源管理理論の新機軸を拓くことを目的とする。
[方法]平成18年度は以下の検討を行った。
1.非協力ゲームの利得構造の改変によるNash均衡点の調整
(1)収益配分機構の特定
(2)収益配分ルールの設定
(3)ゲーム理論によるNash均衡点の解析
(4)多魚種資源管理への適用
2.漁業者間の協力関係が進展する条件の検討
[結果]対象魚種の生活史タイプ,価格関数等に関する様々な条件下での検討を行い,以下のことを明らかにした。個別漁業者の収益をプールしたうえで各漁業者の魚種別CPUEと漁獲金額にもとづく得点式に従って収益を再配分する「競争原理導入型プール制漁業」は,漁獲率一定漁業,従来型プール制漁業,自由操業よりも産卵親魚量を増大させ,長期的に高い収益を揚げる点にNash均衡が達成される。長寿命型の生活史の資源を対象とする場合や,漁獲量の増大に対する価格の下落の激しい場合には,とくに大きな効果を発揮する。投入可能な努力量の上限設定が過大な場合でも高いパフォーマンスが期待でき,周辺条件の異なる様々なシナリオに対して,得点を決めるパラメータを調節するだけで柔軟に対応することができる。このような収益再配分機構を有する漁業管理システムは,大規模な資源解析を必要とせず,収益の増大や産卵親魚量の保護等の様々な目標に合わせた管理が可能な,汎用性の高いシステムである。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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