研究概要 |
本年度は、研究成果に関するonline投稿を試みるために必要なアプリケーションソフトや周辺機器の整備にかなりの時間を費やしたが、残念ながら校閲者のコメントをクリヤーするに至らず未だ印刷発表には達していない(Omura Y & Korf HW : Distribution of proliferating cell nuclear antigen-immunoreactive cells in the pineal organ of the rainbow trout, Oncorhynchus mykiss)。また、下記研究成果の一部については平成18年度第1回日本水産学会中部支部大会にて講演発表を行った(大村百合:「ニジマスOncorhynchus mykiss成魚における松果体光受容細胞の新生」、平成18年8月25日、新潟)。 光受容-メラトニン分泌が行われる魚類松果体でも網膜の場合と同様に、成魚において光受容細胞が新生され続けるのかどうか明らかにするため、1)まず、冷水魚の未成熟ニジマスOncorhynchus mykissの松果体で増殖細胞核抗原(PCNA)免疫陽性細胞とロドプシン陽性光受容細胞外節との連結あるいは近接を認め、光受容細胞新生の可能性を示唆した。2)さらに、成熟間近いニジマスにBrdU(チミジンの類似体)を投与し経時的に松果体増殖細胞への取り込みを免疫細胞化学的に調べたが、決定的な証拠を得るに至らなかった。3)そこで、産卵後もさらに成長し続けているニジマス(3年魚)について調べ、松果体膨大部および柄部の吻側への著しい伸長とPCNA陽性細胞の顕著な分布を明らかにした。4)また、成長が速く飼育が比較的容易な温水魚のティラピアOreochromis niloticusにもBrdUを投与し経時的に免疫染色標本を作製し繭べたところ、網膜には多数のBrdU陽性増殖細胞が出現するが、松果体にはわずかしか認められなかった。5)一方、小型実験魚としてよく知られるゼブラフィッシュDanio rerioの成魚についてもBrdU投与実験を試みたところ、松果体および網膜ともにBrdU陽性増殖細胞はあまりみられず、さらにPCNA陽性細胞の分布についても調べ同様に少ないことが確かめられた。
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