人工磁気刺激に関する実験は学部実験室(実験魚はメダカ)、超音波は附属実験所の屋外大型タンク(メジナ、マアジ、ゴマサバ)、紫外線は学部屋外タンク(アユ、オイカワ、ウグイ)と附属実験所の屋外大型タンク内生簀(メジナ、マアジ、ゴマサバ)及び民間養殖場のタンク(アユ)で実験を行った。 【人工磁気刺激】人工磁気の強さに傾斜をもたせた水槽にメダカを入れ、人工磁気付加前後のメダカの分布様式の変化をみた。地磁気の最大313倍(1千万nT)の人工磁気を付加したが、強磁気を避ける傾向は認められなかった。また、強磁気の付加後の生残は対象と変わらなかった。しかし、メダカが磁気感覚をもつことが明らかになり、分布様式の解析に応用したcircular statisticsは有効な分析方法であることが確認された。 【紫外線刺激】本研究のために、光源に3種のLEDを使った魚類忌避刺激装置を製作した。ヒトに光害をもたらさない近紫外線(λmax:365nm)刺激はいずれの魚種にも有効な忌避刺激であった。ただし、忌避刺激となるのは刺激を点滅させた時のみであった。顕著の忌避を示したゴマサバの忌避閾値の放射照度は1.80μW/cm^2/nmであった。青光で0.02μW/cm^2/nm、赤光で1.0μW/cm^2/nmという閾値と比べ、感紫外線錐体を網膜にもたないゴマサバで低い紫外線忌避閾値を得たことは、点滅紫外線が様々な魚種の行動制御に有効な刺激になる可能性を示す。 【超音波刺激】市販の魚群探知機を用いて、波長50Hzと200Hzの超音波を刺激とした。いずれの魚種も送受波器の前から音圧が低い部分に移動する傾向はなく、忌避は認められなかった。
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