研究概要 |
1)アイゴ、ブダイ、イスズミの3種を対象に、魚群探知機による90kHzと200kHzの超音波放音を行った。放音によっていずれの魚種も遊泳行動に変化はみられず、摂餌を停止することはなかった。これらの結果より、魚群探知機の放音出力では、超音波は忌避刺激にならないと判定された。 2)ウグイ、オイカワ、アユ、サケ、スズキ,ラージマウスバス、ブルーギル、ゴマサバおよびマアジの9種を対象に、近紫外線(UV)の点滅放射に対する反応行動を調べ、可視光の点滅放射に対する反応行動と比較検討した。点滅UV放射に対する反応行動は魚種によって異なり、ウグイとゴマサバは顕著な忌避反応を示し、サケには行動変化が全くみられなかった。その他の魚種は弱いながら忌避反応を示したが、点滅UV放射は慣れの生じない持続的な忌避刺激になり得ないと考えられた。実験結果は点滅UV放射への反応行動の強さは眼のUV感度とは相関しないことを示した。 3)メダカとウナギを対象に前者では地磁気の最大313倍、後者では地磁気の最大801倍の人工磁気を印加して、魚の行動変化を水槽観察した。水槽内を自由遊泳するメダカは弱い磁気区に移動する傾向は認められなかった。ウナギは人工磁気の印加によってシェルターから脱出し、人工磁気に長時間曝されたウナギは磁気感覚を喪失した。これらの結果より、強い人工磁気は魚の忌避刺激になり得ると判定された。
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