研究課題/領域番号 |
17580170
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研究機関 | 下関市立大学 |
研究代表者 |
濱田 英嗣 下関市立大学, 経済学部, 教授 (80172972)
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研究分担者 |
小野 征一郎 近畿大学, 農学部, 教授 (40017075)
島 秀典 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (00253914)
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キーワード | 輸出効果(価格上昇) / 価格決定権 / グループ化 |
研究概要 |
(1)今年度成果 1)対韓輸出の主要品目の一つであるタチウオの産地価格は明らかに上昇している。和歌山県箕島漁協資料の分析からその事実をデータとして検証できた。とりわけ、中型サイズにおける価格上昇が顕著であつた。韓国側ニーズが最も旺盛な注文がこのサイズに集中していることが要因である。また、そのニーズが次第に大型化していることが明らかとなった。 2)韓国輸出に関しては、輸送コスト削減のためにロットを揃える必要があること、各産地から安定的にタチウオを集荷し、それを輸出する必要があることから、輸出業者が特定の集荷業者・仲継業者とグループ化して対応していることが明らかとなった。集荷業者・仲継業者は平均して3%程度のマージンを報酬として得ていることも判明した。 3)対韓輸出業務において、価格決定権を韓国側輸入業者が握っているのか、日本側輸出業者が握っているのかは、本研究の核心部分であるが、ほぼ韓国側が価格決定権を掌握していることが明らかとなった。次年度、さらに慎重に調査を実施する予定であるが、対韓輸出の主要品目であるタチウオにおいて、価格イニシアを韓国側が握っているとすれば、我が国水産物輸出の計画性、戦略性に問題があることにつながる。 4)輸出品目がタチウオ以外にも拡大していることが明らかとなった。具体的には、福岡中央市場に韓国側バイヤーが張り付き、価格条件に合う品目を当該市場で買い付け、輸出したり、輸入業者が日本国内に事業所を設置するなど、仕入れ戦略がさらに高度化する動きがあることも明らかとなった。我が国水産物の対韓輸出が今後とも伸びていくことはほぼ、間違いない。 (2)次年度調査 我が国水産物の輸出が数量・品目的に拡大している中で、しかし輸出戦略が意外に乏しいことが判明したが、今後いかなる国の支援策が講じられるべきかに照準を合わせた調査を実施する。併せて、対韓輸出の影響が国内の流通にどのように表れているか、明らかにしたい。
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