研究概要 |
(1)ホタテガイトランスグルタミナーゼのアミノ酸配列の解明 ホタテガイ閉殻横紋筋および肝膵臓組織から常法によりmRNAを調製し,二本鎖cDNAを合成した。このcDNAライブラリを鋳型とし,先ず各種トランスグルタミナーゼに共通の,N末端付近RRGQPF,活性中心付近のWNGQF, GQCWVFAをコードする各種プライマーを作成しRT-PCRを行なったが,目的のPCR産物の増幅は見られなかった。コントロールとして,ホタテガイミオシン重鎖をコードするプライマーを用いてPCRを行なった結果,1/1000希釈cDNAで目的の産物が得られたので,トランスグルタミナーゼ遺伝子が非常に少ないか,ホタテガイトランスグルタミナーゼの構造が特殊である可能性が考えられた。そこで,トランスグルタミナーゼ本体と確認された,血球100k成分のN末端12残基と2つの内部断片15残基をコードする12種類のプライマーを組み合わせて,筋肉および肝膵臓cDNAライブラリーを鋳型としてPCRを行ったが,いずれも目的の増幅産物が得られなかった。そこで,各組織の酵素発現量を活性測定により測定した結果,筋肉,肝膵臓,血球およびエラ組織の酵素活性は,18,33,608,220unit/gと圧倒的に血球に多く,十分なPCR産物が得られない原因が組織内酵素mRNA量の不足によることが推察された。よって今後,血球およびエラから新たにmRNAを抽出しcDNAライブラリーを構築し,PCRを行う必要のあることがわかった。 (2)ホタテガイ血球基質タンパク質のアミノ酸配列の解析 既にN末端と内部断片を解析した生体内基質血球230k,210k成分,酵素本体である100kに加え,主成分である45k成分のBrCN分解断片15,12k断片の配列YVAIQVLSLとGQKDSYVGDEを決定し,45k成分がアクチンであることを明らかとした。
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