研究概要 |
本研究では,再編麦政策下における新たな小麦生産・流通システム構築に関して,再編麦政策の内容・性格,及びその下における各産地の現状と今後の対応を調査・分析した。その概要は以下のとおりである。 再編麦政策は品目横断的経営安定対策の仕組みを内包しているために,品質向上・生産量増大を図る上で難点を抱えている。今後,生産条件不利補正対策の構成やその助成額水準において改善が図られる必要がある。 同時に,良品質の小麦生産に向けては各産地における努力も必要である。各麦産地での調査から次のことを導き出すことができた。 第1には,需要に対応した,そしてその地域の土壌・気象条件に適した品種を導入すること,第2には実需者との関係では高品質もさることながら,品質の均一性も相当重要な要素であるため,とくに大小麦産地であって大手製粉メーカーとの取引が主軸になっている地域では,農協が主導する形で各生産者の生産管理の統一化を図ること,第3には大手との取引もさることながら,根強い地場指向を睨んで地産地消的な麦の販売ルートを開拓していくこと,第4にそのためにも地元の小麦第2次加工業者との提携も追求していくこと,第5に機械共同利用組織のようにコスト削減に向けた取り組みをさらに強めていくこと,である。 一方での政策・制度面における整備,他方での生産・流通段階における各主体の積極的対応。国産麦の品質及び生産量の向上にはこの両面の取り組みが必要である。
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