研究概要 |
フィリピンについては、前年の北部ルソン、イフガオの棚田の地域の多面的機能の評価に引き続き、中部ルソン,マニラ近郊,西部ビサヤ諸島、にてアグリ・ツーリズムの観点から訪問者に調査を実施し、トラベル費用法などを用いて当該サイトを維持することの経済便益を評価しつつある。 タイについては、タイのFTA(自由貿易協定)が、タイ国内の産業構造と周辺の諸国・地域に及ぼすインパクトを経済学をベースに計量的に評価した。一般均衡モデルのひとつのGTAPデーターベース・モデルを用いた。その結果によると、ほとんどのシナリオにおいて、タイは、大きな利益を得るもののオーストラリアやニュージーランドとのFTAでは、逆に損をしうるという結果が得られた。また、日本とのFTAでは、いずれの指標についても他のシナリオよりも大きな変化がみられた。これは、日本への食料輸出、また国内生産に占める食料セクターのシェアーが大きいことなどが理由として考えられる。 また、多くのシナリオにおいて、タイは周辺国から食料を輸入しているため、FTAによる経済成長がうながされ、国民1人あたりの所得水準が増加して、食料や製造業などの商品の消費が増加し、周辺国からの輸入が増え、周辺国に波及するというインパクトが計量的に確認できた。
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