研究課題/領域番号 |
17580202
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
秋山 邦裕 鹿児島大学, 農学部, 教授 (20167852)
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研究分担者 |
岩元 泉 鹿児島大学, 農学部, 教授 (10193773)
李 哉ひょん 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (60292786)
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キーワード | 農業法人 / 出資型経営参画 / NPO法人 / 市町村農業公社 / 市民参加 |
研究概要 |
本研究では、開放系農業法人の新たな制度設計のために、以下の調査を行った。「多様な出資」参加の農業生産法人調査、企業の農業経営参入実態調査、市町村農業公社・NPO法人の実態調査。 構造改革特区への一般企業の農業経営参入が進展し、新たな展開が見られる。建設業を中心とした地元企業の参入事例が主流を占めている。また、一般企業が農業生産法人を新設して農業参入を行っているケースも多い。しかしながら、株式公開を行っている株式会社が農業に参入している事例は数としては少ない。ワタミ・ファーム、カゴメ、伊藤園などが注冒されているが、こうした動向が一般化するかどうかは即断できない状況である。 市民参加型の農業法入はレア・ケースにとどまっている。JA出資型の農業生産法人は増加傾向にあるものの、生協出資型の法人は未展開であり、市民出資による法人展開は神奈川県相模原市の有限会社「青空農園」などがあるものの、点的な存在にとどまっており、新たなビジネス・モデルを構築するまでには至っていない。 NPO法人・公益法人の農業経営への参画事例は多いが、市民参加は微弱である。欧米のLLCやLLPでは市民参加が見られる。わが国でもLLC・LLPが創設されたが、パススルー税制がLLCでは認められず、欧米のような市民参加型の展開は制度的に期待できない状況である。また、公益法人改革が進められ、今後、市町村農業公社の再構築が求められるであろう。しかしながら、農業公社の対応は遅れており、パブリック・サポート・テストなどの判定を受けることになれば、公益認定を受けられないのが実態である。早急な対応が求められている。 開放系農業法人の制度設計では、農業法人やLLCまたはNPO法人・公益法人の活用上、市民参加の経済的誘引(個人所得の節税)などを組み込むことが不可欠である。
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