研究課題/領域番号 |
17580203
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 旭川大学 |
研究代表者 |
近藤 功庸 旭川大学, 経済学部, 助教授 (20305874)
|
研究分担者 |
山本 康貴 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90191452)
笹木 潤 東京農業大学, 生物産業学部, 講師 (00339087)
|
キーワード | 稲作 / 総合生産性(TFP) / 技術効率変化 / 技術変化 / 地域別貢献度分析 / 経済収束 / パネル単位根検定 |
研究概要 |
本研究の目的は、日韓FTA締結が両国の農業生産性にいかなる影響を及ぼすかを計量経済学的に明らかにすることである。そのため、平成17年度は国内外の農業を対象とした生産性や経済収束の実証研究をサーベイするとともに、わが国の農業生産性と経済収束に関する計量分析を行うことを主として行った。 その結果、平成17年度の研究実績では、以下のような知見が得られた。 1.農業生産性の分析 減反開始期以降(1971年-1995年)におけるわが国稲作生産性(TFP)は年率0.56%の伸びにとどまっており、うちキャッチ・アップ効果(技術効率変化)は0.21%、技術変化は0.35%の伸びに過ぎない。さらに、わが国稲作生産性変化に対する地域別貢献度を分析したところ、プラス10%以上で技術変化の貢献度を示した地域は北海道、北陸、東海であり、プラス10%以上でキャッチ・アップ効果の貢献度を示した地域は北海道であることが明らかとなった。 2.経済収束分析 (1)クロスセクション分析 減反開始期以降のわが国稲作生産性を対象としたクロスセクションにおける経済収束分析では、TFPの初期水準を説明変数とし、TFPの年平均成長率を被説明変数とした回帰分析を行った結果、TFPの初期水準に関するパラメータが負で統計的に有意な値が得られたことから、β収束が確認された。 (2)時系列分析 時系列から減反開始期以降のわが国稲作生産性を対象とした経済収束分析を行うため、パネル単位根検定を適用した。6種類のパネル単位根検定を行った結果、いずれも稲作の相対的生産性は単位根を持つ(=非定常である)という帰無仮説が棄却された。よって、経済収束の時系列分析においても減反開始期以降のわが国稲作生産性は収束、すなわち稲作生産性の地域間格差は縮小傾向にあることが明らかとなった。 3.平成18年度の計画 平成17年度は減反開始期以降の分析を行ったため、平成18年度は減反開始期以前を対象とした上記と同様の分析を行う予定である。また、平成17年度は韓国でデータおよび資料の収集を行ったことから、平成18年度は日本の稲作生産性と比較すべく、韓国の稲作生産性を計測すること、また日韓FTAについてGTAPモデルを適用したシミュレーション分析の結果を発表することを計画している。
|