研究概要 |
本年度の研究目的は,サプライチェーンマネージメント理論に基づいて,地域食料経済システムの中心をなすべき地域食品企業が,量販店による地域食品の販売運動や県の地域特産品認証事業によって,その地域経済,環境,杜会にどの程度寄与しているかを明らかにすることであった.そのため本年度は,まずサプライチェーンマネージメント理論の取得と量販店による地域食品の販売運動や県の地域特産品認証事業の現状把握,聞き取り調査を行った.それにより,地域食品企業の分野でもサプライチェーンマネージメント理論は有効であることや,地域特産品認証事業(Eマーク)や量販店における地域食品の販売運動の有効性の程度,課題が明らかとなった.後者においては,認証事業や販売促進が,出荷先に困窮している優良中小食品企業に勇気と自信を与えるものではあるが,販促が終わるとその効果も薄れることや認証事業が消費者に浸透していないことにより費用対効果は小さいものであった.また味噌を例にすれば,長野では地元メーカーのNB商品のみならず,高級品もよく売れているが,宮城では,地元のEマークの味噌より信州産高級味噌の方がよく売れているといった消費行動が確認された.つまり消費者は,地元産でかつ安全な食品を求めている傾向はあるものの,価格条件により,地元産の高付加価値商品よりも有名産地の高級品を訴求する傾向があるといえる.地域食品企業の商品は域内の経済への波及効果も得られ,なおかつ輸送コストを節約できるという環境面でもよい影響がある.ただしそれも多くの域内の消費者から支持されなければ事業として成り立たない.そのためには,消費者への商品としての価値や域内経済の発展,環境問題等広範な認識の普及が鍵となる
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